一般社団法人 日本整形内科学研究会では、2020年5月23日(土) に第6回 JNOSウェビナー[Web Seminar] を開催いたした。
これは、昨今のコロナウィルス感染拡大防止対策のみならず、従来からいただいていた、実際の集会、セミナーに参加するのが困難であるのでオンライン講座などをもっと積極的にやってほしいという要望に応えるものです。
概要:第6回 JNOSウェビナー[Web Seminar] 講義
第6回JNOSウェビナーは「Angiosome(アンギオソーム)を活用したFasciaの発痛源評価と治療~総論、症例1」をテーマに開催しました。
JNOSウェビナーの質疑応答の方法、前回第5回の質問への回答例を紹介後、約60分の講義に続き、25分程の質疑応答の時間には10個の質問がでるほどの盛況ぶりでした。
- 会長木村裕明先生による、最近の治療トピック、AngiosomeとFasciatomeをDermatomeとの比較から概説、下腿外側部痛の発痛源とハイドロリリースの紹介、ハイドロリリースの液体の解剖学的広がりに関するご検体での検証内容の報告がありました。
- 浅賀亮哉先生による、アンギオソームの評価に至るまでの一連の系統評価(可動域評価、fasciaの評価、神経学的評価)と段階的な治療方法を症例ベースで紹介。
- 症例1)右上肢痛(C4~6の領域)を例に、可動域評価、関連痛の評価、神経学的評価、Nerve tension test、血流評価、アンギオソームを想定した評価、エコー評価と段階的に評価していきました。これらの異常所見の共通項を探し出し、上腕三頭筋裂孔部(上腕三頭筋/上腕深動脈)を発痛源として同定したプロセスは見事でした。そして、多職種連携による悪化因子の評価と治療(悪化因子:前鋸筋筋力低下、頚胸腰部・骨盤部までのアライメントおよび動作評価とリハビリ指導、必要に応じた鍼灸治療とのコラボレーション)を詳細に紹介しました。
- 症例2)尺骨神経領域のしびれ感が、前述の系統評価の結果、アンギオソームを活用し「正中神経/尺骨動脈」部位のハイドロリリースで改善した一例を報告しました。
- 症例3)下腿外側部痛に対して、前述の系統評価の結果、アンギオソームを活用し「前脛骨動脈/下腿骨間膜」の貫通部のハイドロリリースで改善した一例を報告しました。
第5回以上に、症例ベースの具体的評価・治療手順を紹介頂き、アンギオソームという新しい評価方法を既存の評価方法との位置づけを意識しながらも、現場で困っている患者に対して「どのように適応させるか?」という試行錯誤の体験を共有することができました。
動画公開:第6回 JNOSウェビナー[Web Seminar] 講義
第6回JNOSウェビナーの動画およびディスカッションは、会員限定フォーラムで閲覧可能です
- 前半の講義動画
小林:JNOSウェビナーの紹介(3分程)
木村、浅賀、黒沢:講義(60分程)
質疑応答[目次]:第6回 JNOSウェビナー[Web Seminar]
- セミナー中の質疑応答の動画(25分程):目次は以下です。
質疑応答は、会員アーカイブで動画で視聴できます。(一部 調製中)
- 0:15 質疑応答セッションの開会の挨拶(小林)
- 0:44 質問1)足関節前面部の痛みには伸筋支帯が原因となることもあるが、pretalar fat padとの鑑別はどうするのでしょうか?
- 2:45 質問2)症例1の悪化因子が胸郭ということでしたが、内科的な観点での悪化因子として気管支喘息、漏斗胸、腹部の手術痕などの既往歴はあったのでしょうか?
- 4:06 質問3)症例1で胸椎伸展を促す際に、腰椎の前弯を促す運動をしていましたが、胸腰椎以降部の硬さが見られる場合はどのように対応するのでしょうか?
- 4:50 質問4)神経学的異常所見のない痛みの場合、椎間関節や仙腸関節が関連していることがありますが、そちらも検査した上でAngiosomeの評価を行っているのでしょうか?
- 7:27 質問5)動脈だけでなく静脈周囲が発痛源になる場合もあるのでしょうか?
- 9:35 質問6)前腕の内圧をあげることで症状変化があった症例で、Angiosomeを疑っていましたが、Venosomeの可能性は検討されたのでしょうか?
- 12:00 質問7)明らかな神経傷害の所見を認めない場合においても、前鋸筋の筋力低下が起こるというのは何故なのでしょうか?
- 15:40 JNOS副会長 洞口敬 総括
- 17:14 閉会のあいさつ(小林)
- 専用フォーラム内でディスカッションもあり。
入会案内
当会の入会はこちらから。