解説
ハイドロリリース (Hydororelease,HR)は、Hydro(液体)でRelease(剥離・緩める)する”注射手技”を意味します。
*ハイドロリリース (Hydororelease)という言葉自体には注射の対象部位を示す意味は含まれていないため、対象部位を示す言葉と組み合わせて使用されるます。例えば、ファシア(特に「a Fascia」)を対象にしたハイドロリリース (Hydororelease)を「ファシアハイドロリリース」と呼びます。末梢神経を対象とすれば「末梢神経ハイドロリリース」、靭帯を対象とすれば「靭帯ハイドロリリース」となります。
*使用される液体は、多様です。一般的な局所麻酔薬を使ったブロック注射と区別するために、生理食塩水など、局所麻酔薬の使用を最小限にした意味として使われる傾向にあります。
注)近年「筋膜リリース」「ハイドロリリース」という言葉が知名度を上げており、以下のような集客目的の悪質な便乗療法(フリーライドなど)が増えております。本分野が学術的に健全に発展するために、悪意のある第3者のフリーライドや誤用にも気を配っています(参照)。
例)「鍼や徒手によるハイドロリリース」という組合わせは存在しません。集客・バズワード目的で「ハイドロリリース」という言葉でストレッチ運動をYouTubeなど動画配信サイトで流している治療家もいますので、患者様方はくれぐれもご注意ください。
例)「飲水療法(ハイドロリリース)」という表現、そして「1日2リットルの水をのみファシアに潤いを!」と語る飲水療法(水素水、飲尿療法)にご注意ください。
ファシア(Fascia)ハイドロリリース
ファシア(Fascia)ハイドロリリースはファシア(Fascia)を対象にしたハイドロリリースの呼称です。
異常なファシアに対して、生理食塩水, 局所麻酔薬等の液体(Hydro)を注射することにより、ファシアの機能回復を狙うものです。
そのメカニズムとしては、注射針の穿刺自体による効果、注射針操作と液体注入による剥離効果や物理的刺激の効果、注入された液体による影響(水分や電解質の補給、痛み物質の洗い流し)などが考えrateいる(詳細は4-5リンク)
エコーガイド下ハイドロリリース
エコーガイド下ハイドロリリース、エコー画面で対象部位等を確認しながらハイドロリリースを行う手法です。
類似手技との比較|ブロック、ハイドロダイセクション、プロロセラピー
ブロックは、局所麻酔薬を用いて末梢神経の電気の流れを遮断するものです。ハイドロリリースは、末梢神経へ入力される刺激(発痛源)を治療すものであり、目的が異なります。
ハイドロダイセクション(Hydrodissection:HD)は、末梢神経を剥離するために周囲組織(fascia)を切離する手技です。これは、末梢神経ハイドロリリース(HR)に一見似ていますが、ハイドロリリースはfascia自体を治療対象として発展してきた手技であり、コンセプト自体が異なります。また、エコー画像上の手技の特徴も異なります(ミルフィーユサインとドーナツサイン:以下図)
プロロセラピーは、ブドウ糖を用いて、組織損傷と修復を促すこと(ブドウ糖濃度が高ければ「組織を固める」意図が増える)を目的とした手技です。ハイドロリリースは、組織の柔軟性改善等を目的とした手技であり、その目的は対称的です。
関連用語
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