一般社団法人 日本整形内科学研究会

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第7回JNOS学術集会・第5回日本ファシア会議 抄録

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1)2024年11月23日(土)第7回JNOS学術集会・第5回日本ファシア会議【大会長講演・特別講演・教育講演・基調講演】

 [会長講演]運動器緩和ケアの意識を持った外来診療 (洞口 敬)

【タイトル】運動器緩和ケアの意識を持った外来診療
【演者】洞口 敬
【所属】JNOS会長・理事、B&Jクリニックお茶の水 院長
【座長】寺澤 佳洋 (JNOS理事、口之津病院 内科・総合診療科)

【抄録】

私が当会(JNOS)から学び大変役立った知識の一つに、「疾患」と「病い」の概念がある。 患者は“事実よりも自分の想いや考えを話す”ということも知った。 “ファシリテーション”スキルの指導をウェビナーで受け問診に取り入れると、患者さんの心情に配慮しつつ必要な情報の抽出能力が上達した。 「病い」の訴えに対する認識や対応スキルの指導により、外来診療のストレスは下がり、治療能力は上がった。 運動器疾患は直接的には命に直結しない場合が多い。 患者は症状では困るが「病い」として苦しむことは多くないはず、手術さえ完璧に行えば満足するもの、事前に治療限界点が説明なされれば割り切れるはず。 以前私は無意識にそう思い込んでいたのかもしれない。

近年、整形外科医の治療は効率の良さを目指し、外科的治療手段を中心に専門化が進み、関節パーツ別化、業務役割分担化が進み、一か所の手術が終了した後は関知せずと言わんばかりの診療スタイルにも遭遇する。一方、ガンや心不全の緩和ケア領域の書籍を読むと、患者の視点から見た治療(キュア)とは、疾患によって自らが感じている問題(病い)を対象と捉えており、医療者から見た疾患に対する治療(キュア)が患者の病いを治すとは限らないと書かれている。疾患をきちんと治療できることは最低限必要なことである。しかし、疾患を完全完璧に治癒させることはできない。 患者の尊厳を大切に、寄り添い・伴走する運動器診療(ケア)が必要である。 “神の手”を持つ治療者達においても「運動器の病い」に対峙した、「運動器緩和ケア」の意識を持った外来診療が求められる。

 [教育講演1] 西洋☓東洋☓ペルシャ~ファシア☓自律神経☓呼吸法☓栄養~(小林 只)

【タイトル】西洋☓東洋☓ペルシャ~ファシア☓自律神経☓呼吸法☓栄養~
【演者】小林 只
【所属】JNOS 副会長・理事、弘前大学医学研究科 総合地域医療推進学講座 講師 / 株式会社アカデミア研究開発支援 代表取締役社長
【座長】銭田 良博  (JNOS副会長・理事、株式会社ゼニタ 代表取締役社長)

【抄録】

実態組織としてfasciaを認識することは、構造分類学に基づく西洋医学体系の根底を覆しうる。Fasciaの治療手技の1つである、ハイドロリリース(局所麻酔薬を使わない局所注射治療の1つ)もまた、プラセボの概念に影響を及ぼす。これらは、注射、鍼、徒手、物理療法の解釈において、特定のパラダイムに基づく、治療方法、医薬品有効性の根拠を揺らがせる。

Fasciaは人体を全体観と捉え、分類構造学として発展してきた西の医学(例:西洋医学)と全身の機能で評価してきた東の医学(例:中医学、ペルシャ医学)を接続する。本講演では、特に、呼吸法と栄養とファシアに焦点を当てて、自律神経不調(例:起立性調整障害)への評価・治療技術を紹介する。具体的には、鉄欠乏症、脚気、タンパク不足など栄養失調、下垂体機能低下などのレッドフラッグ、自律神経の機能解剖学的評価と対応(例:強制呼気法、口すぼめ呼吸、バルサルバ法、胸腹式呼吸、丹田呼吸、密息、プラーナヤーマ、母音発声と振動刺激)を症例ベースで解説する。

参照1:小林只. 「[教育講演IV] 運動器疼痛 オーバービュー」2023年第6回JNOS学術集会、第4回日本ファシア会議 (リンク

参照2:小林只. Fasciaの歴史・定義の変遷~実態・認識・言葉の狭間で~P2-15. 木村裕明他編「Fasciaリリースの基本と臨床 第2版~ハイドリリースのすべて~」 2021年. 文光堂 

 [一般演題1]頚部痛に対する超音波ガイド下血管周囲 fascia hydrorelease鎮痛効果の検討(中間報告)(廣木 忠直)

【タイトル】頚部痛に対する超音波ガイド下血管周囲 fascia hydrorelease鎮痛効果の検討(中間報告)  / Effectiveness of ultrasound-guided fascia hydrorelease around the blood vessels in patients with stiff neck and shoulder pain.
【演者】廣木 忠直1)、木村 裕明2)、須藤 貴史3)、堀米 秀法2)、小林 只4)、小幡 英章5)
【所属】1)伊勢崎市民病院、2)木村ペインクリニック、3)群馬大学大学院医学系研究科、4)弘前大学医学研究科 総合地域医療推進学講座 、5)埼玉医科大学総合医療センター 
【座長】1) 並木 宏文  (JNOS理事、地域医療振興協会 公立久米島病院 院長)  2) 今北 英高 (JNOS理事・広報局長,埼玉県立大学 保健医療福祉学部理学療法学科 大学院保健医療福祉学研究科 教授)

【抄録】

【背景】頚部痛の原因として、組織虚血が指摘されており、血流正常化が治療手段となる可能性がある。本研究では筋膜性疼痛症候群(MPS)患者を対象に、組織を栄養する動脈周囲にfascia hydrorelease (FHR)を施行することで、痛み症状と血流が改善するかを調べた。本発表は中間報告であり、結果が変更となる可能性がある。

【方法】本研究はシングルアーム介入研究である。頚部MPS患者を対象に、痛みvisual analog scale (VAS)、活動度評価のために日本語版疼痛生活障害指標(PDI-5-J)を聴取し、頚横動脈または肩甲背動脈の血流を測定した。その後同部位でFHRを施行し、血流及び痛みの評価をした。1週間後に再度痛みVAS、PDI-5-J、血流を評価した。解析は対応のあるt検定を用い、P<0.05を有意とした。

【結果】8名のデータ解析でFHR施行前と比較し、施行直後及び1週後の安静時・動作時痛みVASは低下し、PDI-5-Jの改善も認めた。動脈血流はFHR直後に増加した。

【結論】MPSには虚血痛の要素があり、血管周囲FHRにより血流が改善すると症状が改善する。

[一般演題2] ハムストリング肉離れ既往歴における組織硬度及び振動覚の変化(河合 智則)

【タイトル】ハムストリング肉離れ既往歴における組織硬度及び振動覚の変化 /  Previous Hamstring Muscle Strain Injury Alters Passive Tissue Stiffness and Vibration Sense
【演者】河合 智則
【所属】JNOS 会員、KMAP合同会社
【座長】1) 並木 宏文  (JNOS理事、地域医療振興協会 公立久米島病院 院長)  2) 今北 英高 (JNOS理事・広報局長,埼玉県立大学 保健医療福祉学部理学療法学科 大学院保健医療福祉学研究科 教授)

【抄録】

ハムストリングの肉離れはスポーツ競技において頻出する障害のひとつである。ハムストリング肉離れの既往歴は再受傷の危険因子とされているが、そのメカニズムは明らかにされていない。ハムストリング肉離れでは筋線維のみならずFasciaの微小損傷が生じていると報告されている。Fasciaを含む組織の微小損傷により筋組織硬度が増加すると示唆されている。またFasciaには振動覚、位置覚および運動覚の深部感覚を含む感覚情報を受容するメカノレセプターが豊富に存在する。以上から、ハムストリング肉離れ既往歴を有する競技者はFasciaの障害による組織硬度の変化ならびにメカノレセプターの機能異常から深部感覚の変化が起こっている可能性がある。

本研究では被験者は男性プロサッカー選手でハムストリング肉離れの既往歴を有する8名、既往歴を有さない8名の計16名を対象とした。トレー二ング前の安静時に被験者の両側大腿後面の組織弾性率を組織硬度計により、振動感知時間を音叉により測定した。

結果と考察:年齢やBMIに関わらず、ハムストリングス肉離れの既往があるサッカー選手は組織硬度が向上し、振動感覚が低下することが示唆された。また、組織硬度計ならびに音叉は実施の臨床現場にて簡易に使用できる評価機器として応用が可能であり、スポーツなどの現場にとって有益な評価方法となるうる可能性がある。

[指定演題1]軟部組織動態を追従する画像解析手法の確立(宮澤 拓)

【タイトル】Fasciaの自発放電抑制による症状改善メカニズムの解明 /Improving Symptoms by Suppressing Spontaneous Discharge in Fascia: Understanding the Mechanism
【演者】宮澤 拓1,2)、佐々木 郁也3)、新井 美帆2)、金村 尚彦2)
【所属】1)人間総合科学大学 理学療法学専攻、2)埼玉県立大学大学院、3)プレックスファミリークリニック
【座長】1) 並木 宏文  (JNOS理事、地域医療振興協会 公立久米島病院 院長)  2) 今北 英高 (JNOS理事・広報局長,埼玉県立大学 保健医療福祉学部理学療法学科 大学院保健医療福祉学研究科 教授)

【抄録】 発表者の知的財産保護のため、オンラインでは非公開。

[指定演題2]Fasciaの自発放電抑制による症状改善メカニズムの解明(廣木 忠直)

【タイトル】Fasciaの自発放電抑制による症状改善メカニズムの解明 /Improving Symptoms by Suppressing Spontaneous Discharge in Fascia: Understanding the Mechanism
【演者】廣木 忠直1)、木村 裕明2)、須藤 貴史3)
【所属】1)伊勢崎市民病院、2)木村ペインクリニック、3)群馬大学大学院医学系研究科 
【座長】1) 並木 宏文  (JNOS理事、地域医療振興協会 公立久米島病院 院長))  2) 今北 英高 (JNOS理事・広報局長,埼玉県立大学 保健医療福祉学部理学療法学科 大学院保健医療福祉学研究科 教授)

【抄録】

【背景】Fasciaハイドロリリース(FHR)は筋骨格系症状を改善するが、作用機序は解明されていない。FHR施行時に局所性筋収縮を認めたり、施行後に筋力が増加したりすることがあるが、この現象は重積fasciaが電気的に活動しており(自発放電)、知覚神経や運動神経、交感神経の正常な伝導を妨げ、異常な神経興奮を引き起こすことを示唆する。

【目的】FHR前後でfascia電気活動と症状改善の相関関係を調査する。

【方法】本研究は前向きシングルアーム介入研究である。僧帽筋fasciaの重積を認める患者の頚部の痛み・僧帽筋の筋力・可動域を評価する。超音波ガイドで重積fascia近傍に刺入した電極を筋電計に接続し、僧帽筋fasciaの電気活動を計測後、僧帽筋筋膜のFHRを施行する。FHR中及び終了後にも電気活動測定を行ったのち、再度痛み・僧帽筋の筋力・可動域を評価する。

【本研究の意義】FHRの効果メカニズム解明を目的とした本研究は、筋骨格系疾患の治療法の発展に寄与する可能性がある。

[教育講演2] 拡大内視鏡で診るFasciaとその変化 (谷村 悟)

【タイトル】婦人科手術によるFasciaと膜
【演者】谷村悟
【所属】JNOS会員, 富山県立中央病院 母子医療センター長・産婦人科部長
【座長】小幡 英章 (JNOS 理事、埼玉医科大学総合医療センター麻酔科 教授)

【抄録】

私たちはJNOS、Prof.Guimbertea、泌尿器科医である川島清隆先生からfasciaを学び始めた。そして4Kカメラで骨盤内fasciaを観察し、その美しい構造と変化について本会・産婦人科・外科関連学会などで報告するようになった。手術における剥離の難易度はfasciaの変化で説明可能であり手技に変革をもたらした。ロボットの繊細な操作性はfasciaを掴む剥離をも可能にしている。また皮下のfascia構造を生体で明らかにしたことで腹部創における浅筋膜縫合は広まり、監修したモデルを用いた縫合セミナーが全国で実施されている。

Fasciaの概念は女性骨盤底分野でも広がり、骨盤痛に対する内閉鎖筋の徒手・ハイドロリリースを実施するクリニックが開設された。さらに2024年4月には腹腔鏡手術画像にAIによりリアルタイムでfasciaを認識させる機器が世界で初めて国内で承認された。

現在、産婦人科関連学会で多くの医師が「ファシア」という言葉を当然のように用いている。Fasciaの概念は多くを変化させている。

[ランチョンセミナー] 最先端シリーズ パッシブリリースの応用 (木村裕明)

【タイトル】最先端シリーズ パッシブリリースの応用
【演者】木村裕明
【所属】JNOS理事, 木村ペインクリニック 院長
【座長】洞口敬 (JNOS 会長・理事理事、B&Jクリニックお茶の水 院長)

【抄録】

複数の生成AIによると、Fasciaは、疼痛治療において今後ますます重要な役割を果たすことが予想される。そのFasciaを対象としたパッシブリリースとは、組織を他動的に伸長させた状態で実施するリリース手技であり、様々なメリットが存在する。今回は、凍結肩に対して、骨頭偏位を考慮したパッシブリリースを詳細に解説する

一般的に凍結肩では関節腔内にステロイドが使用される場合が多くFasciaを対象としたステロイド使用の報告は少ない。今回は、関節包+靭帯への使用を検討する。

さらに、足底の痛み、しびれ対して、足根管周囲のパッシブリリースについても解説する。この場合も一般的なFasciaハイドロリリースよりも牽引を加えることによって遥かに効果が増す。

[教育講演3] 東洋x西洋xファシア〜ファシアからみた「瘀血」と痛み(須田 万勢)

【タイトル】東洋x西洋xファシア〜ファシアからみた「瘀血」と痛み
【演者】須田 万勢
【所属】JNOS会員、諏訪中央病院 リウマチ膠原病内科 医長
【座長】小林只 (JNOS 副会長・理事、弘前大学医学研究科 総合地域医療推進学講座 講師 / 株式会社アカデミア研究開発支援 代表取締役社長)

【抄録】

東洋医学では、「不通則痛」という考え方がある。気血水の流通が阻害されると、痛みが起こるということだ。特に、固定性の痛みや夜間痛については、「血」の流れが悪い「瘀血」が原因と言われる。

西洋医学でも虚血による痛みはよく知られるが、それは主に中〜大血管のレベルでの異常であり、微小循環の異常と痛みの関連は不明な点が多い。

本演題では、まずファシア内の自由神経終末と血管の分布を明らかにする。また、微小循環障害による疼痛の一病態として「モヤモヤ血管」の形成過程での血管と自由神経終末の相関性を検討する。

さらに演者らの最近の研究として、黄色靭帯に対するハイドロリリースによる頚部痛と脊髄内微小血流の変化を取り上げ、微小循環改善による疼痛緩和の可能性について展望する。これらの一連の検討により、古来より語られてきた「瘀血」による痛みを西洋医学の概念で理解することを目指す。

[教育講演4] エコー × ファシア × 感性工学(AI)(銭田 良博、渡邉 久士)

【タイトル】エコー × ファシア × 感性工学(AI)
【演者】銭田 良博(1)、渡邉 久士(2)
【所属(1)】JNOS副会長・理事、株式会社ゼニタ 代表取締役社長
【所属(2)】JNOS理事、株式会社ゼニタ

【抄録】

感性工学の視点から、ファシアの構造と機能そして病態を理解するために、①線維とは ~その構造と機能(配向性という性質)~ 、②応力、③運動と抵抗(摩擦)、④機械的刺激による焦点受容器の生理学的メカニズム、を説明する。

次に、ファシアに対する治療と適応として、エコー下ファシアハイドロリリース(wet needing under ultrasonography)、エコー下鍼治療(dry needling under ultrasonography)のメカニズム、Fasciaに対する徒手療法のメカニズムについて考察する。

さらには、ハイドロリリース(wet needling)・パッシブリリース・アクティブリリース(徒手・鍼)・鍼治療(dry needling& acupuncture)・徒手療法によるFasciaリリースの治療技術の実践例を提示する。

エコーを活用することにより、エコーガイド下でのファシア(Fascia)に対するリアルタイム画像による可視化と治療にを当てることが可能となった。加えて、AI技術の活用により診断と治療の精度向上が期待されていることから、今後のJNOSの展望として難治性疼痛への個別化医療と医療専門職の多職種連携を、推進していく必要があると考える。

[エコー実演] ~頚部~

【タイトル】エコー実演 頚部
【演者】木村裕明(1)、黒沢理人(2)
【所属(1)】JNOS理事、木村ペインクリニック院長
【所属(2)】JNOS理事、トリガーポイント治療院院長

【抄録】

頚部痛の原因として、Fasciaが関与していることは非常に多い。しかし、治療に先立ち、悪性疾患や感染症などのレッドフラッグを確認し、見落とさないことが重要である。本講演では、頚部痛に有効な部位を紹介するが、代表例として黄色靭帯が挙げられる。黄色靭帯自体が発痛源となり、その肥大や硬化により、局所の血流が低下し、神経や周囲組織への負荷が増大し、痛みを引き起こすと考えられる。その他、舌骨筋群、深頚部動脈、腕神経叢、神経根周囲など、さまざまな部位が発痛源となり得る。本講演では、上記の部位を描出するためのポイントやメルクマールについてデモを行い、エコーガイド下ファシアハイドロリリースの実践的なアプローチを紹介する予定である。

[エコー実演] ~肩~

【タイトル】エコー実演 肩
【演者】田中稔(1)、山崎 瞬(2)
【所属(1)】JNOS理事、仙台たなか整形外科スポーツクリニック院長
【所属(2)】JNOS理事、専門学校 仙台総合医療大学校 理学療法科、日本整形内科学研究会理事、APCC(地域疼痛ケア協会)会長

【抄録】

肩関節は可動範囲の最も広い関節であり、関節窩に対して骨頭が大きいという解剖学的特性を有している。この構造を適切に維持しているのは、肩関節周囲にある靭帯や筋であり、その一部の損傷や機能障害が肩関節の正常な運動を妨げることで周囲の組織に障害が広がっていく傾向がある。レッドフラッグを除くとスポーツ障害や肩関節周囲炎による可動域制限や疼痛が多い。

本講演では、エコーを用いた肩関節の診察や評価方法について臨床で特に頻用し、有用な方法について解説する。

まず、肩疾患および投球障害に関する診察の概要、姿勢の評価、肩甲帯・肩甲上腕関節の可動域評価と鎖骨、烏口突起、上腕骨頭の触診について実演する。加えて、関節可動域評価と関連する解剖学的部位(肩峰下滑液包、烏口上腕靭帯、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋、腋窩神経、四辺形間隙、肩甲上神経など)を描出し、機能障害の検出のポイントやエコー画像描出に有用なメルクマールについて概説する。

加えて、上記に対するエコーガイド下fasciaハイドロリリース、徒手的fasciaリリースについて説明し、多職種に有用な情報を提供することを目指す。

[エコー実演] ~腰殿部~

【タイトル】エコー実演 腰殿部
【演者】吉田眞一(1)、辻村孝之(2)
【所属(1)】JNOS理事、よしだ整形外科クリニック 院長
【所属(2)】JNOS理事、フィジオ/合同会社PROWELL/滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター

【抄録】

腰殿部の発痛源には、筋・筋膜、靭帯、神経、関節などの多数の部位があり、さらにそれらを結びつけているfasciaが存在する。具体的には、腰部起立筋、多裂筋・腰椎椎間関節、胸腰筋膜、腸腰靭帯・腰方形筋、仙腸関節(長・短後仙腸靭帯、骨間仙腸靭帯)・仙骨神経後枝、上殿皮神経・中殿皮神経、上殿神経・梨状筋、坐骨神経、後大腿皮神経、陰部神経・内閉鎖筋、仙骨裂孔(硬膜外ブロック)などである。 本講演では、これらの代表的な発痛源の中から、特に抑えておきたい部位を厳選し、症状の特徴、鑑別診断に必要な各種疼痛誘発テストや身体所見の評価法、エコー描出のために必要な解剖学的知識やハイドロリリース・徒手操作法の実際などについて紹介する。

[エコー実演] ~膝関節~

【タイトル】エコー実演 膝関節
【演者】洞口敬(1)、鈴木茂樹 (2)
【所属(1)】JNOS代表理事、B&Jクリニックお茶の水 院長
【所属(2)】JNOS理事、たかまえ病院、アイリス訪問看護ステーション

【抄録】

膝関節は日常的に負荷をかけられている関節であり、膝周囲に痛みを訴える患者は多くいる。膝の痛みは、年齢、性別、体重、運動などから起こる慢性的な痛みや、外傷から起こる急性的な痛みがあり、筋・腱・靱帯・半月板・滑液包などの部位が原因となっている。これらの痛みは負のスパイラルとなり、悪化することで可動域制限、変形性関節症を引き起こす。

本講演では、エコーを用いた膝関節の診察や評価について解説する。膝蓋上嚢、内側側副靱帯、内側半月板、鵞足、大腿骨荷重面を中心に描出していき、関連する周囲の解剖について解説していく。それのより、関節および周囲の解剖学的構造を理解しすることで、痛みの原因となりえる部位の治療へと繋げることを目指す。