一般社団法人 日本整形内科学研究会 (JNOS)では、2020年2月16日に群馬県木村ペインクリニックにて、第1回JNOSエキスパートセミナーを開催しました。
本セミナーは、JNOSアドバンスセミナー参加者を優先に募り、会員の皆様からいただいたご意見などを反映しました。
その結果、2日間で上半身・下半身に分けてレクチャーし、全身をほぼ網羅する内容となりました。
定員10名でしたが、募集開始2日間でいっぱいとなりました。
当会会長木村裕明と学術局長小林只により、受講者も一緒に身体を動かしながらの診察実習、
肉眼解剖の写真・動画も供覧しながらの治療手技講義を行い、その後エコーハンズオン、という診療実習を行いました。
エコーハンズオンは、受講者2人に対して、エコー1台(コニカミノルタ HS-1)講師アシスタント1人という充実した形で行いました。
また、土曜日は鶏肉を用いた実際の注射穿刺手技のコツ(斜め穿刺法、針をしならせる技術など)を学習し、
日曜日は当会理事小幡英章より「神経とfasciaの関係を最新の疼痛生理学から考える」というテーマに関するランチョンセミナーも開催しました。
1日目終了後の懇親会では、学術集会の大人数とは違って密な情報交換や議論を行うことができました。
講師や講師アシスタントも、ギリギリまで準備を行い大変でしたが、お陰でとても勉強になる機会となりました。
セミナーの最後に副会長・事務局長銭田良博より、エキスパートセミナー修了者はJNOSが開催するセミナーの講師・講師アシスタント・運営委員としてお手伝いいただくお願いをして、全員写真を撮って終了いたしました。
ご参加いただきました皆様方、大変ありがとうございました。
一般社団法人 日本整形内科学研究会では今後も有用な講習会、セミナー等を開催してゆく所存です。今後もよろしくお願い申し上げます。
当日プログラム
2020年2月15日土曜日
内容 | 担当 | メモ | |
15:00 | セミナー開始 | ||
挨拶 | 木村、小林 | ||
参加者自己紹介 | 全員 | ||
15:15 | 第1部 頚部痛 | ||
診察実習 | 小林 | レッドフラッグの除外、動作分析の基本(患者の導通動作の正確な模倣をするためのコツ) | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 後藤先生の書籍「迷わず打てる関節注射・神経ブロック(羊土社2019)年11月」から「頸部のハイドロリリース」を中心に | |
エコー実習 | |||
16:30 | 第2部 肩痛 | ||
診察実習 | 小林 | 肩関節の機能解剖的評価のエッセンス(「〇〇テスト」、「肢位」に惑わされないためのコツ)、動作の足算・引算の考え方 肩甲上腕関節の関節包靱帯複合体を全周性に「くまなく」短時間(30秒以内)で評価する方法 | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 鎖骨関連の治療手技、PIGHL/腋窩神経、三角筋筋内腱、ほか 「拘縮肩に対するfasciaリリース(文光堂2018)」の内容を中心に | |
エコー実習 | |||
17:30 | 第3部 鶏肉穿刺実習 | ||
講義 | 小林 | 1回の穿刺で、複数部位を効果的に注射するための「注射針の扱い方」:斜め穿刺法、針をしならせる技術など | |
実習 | 木村・小林 | 27G38mm注射針と鶏肉を使った実習 | |
18:00 | 第4部 肘外側痛 | ||
診察実習 | 小林 | 肘外側部痛の発痛源・悪化因子の評価(手指~肩・頚部までの「超簡単」包括的診察方法) | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 肘外側痛部痛の代表的治療部位 10選 | |
エコー実習 | |||
18:45 | 第5部 手指痛 | ||
診察デモ | 小林・浅賀 | 「脳→脊髄→腕神経叢→橈骨神経」に関連した一連評価:第1部~4部までの診療の流れを踏まえて | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 母指痛症候群(Thumb pain syndrome)の治療手技。「特集号 fascia(臨床スポーツ医学 2020年2月号 文光堂)」の内容を中心に | |
エコー実習 | |||
19:30 | 質疑応答 | 凍結肩に対するサイレントマニピュレーションで、残りやすい治療部位(0時、5時方向)とその対応・工夫 nerve tension test上肢・発展編(尺骨・正中・橈骨神経以外の評価:肩甲上神経、肩甲背神経、腋窩神経) など | |
20:00 | セミナー修了 | ||
20:30 | 懇親会開始 |
2020年2月16日日曜日
内容 | 担当 | メモ | |
10:00 | セミナー開始 挨拶 | 木村 | |
10:05 | 第1部 腰殿部痛 | ||
診察実習 | 小林 | 仙腸関節障害、椎間関節障害、筋膜性疼痛の簡単鑑別(歩行分析、背屈動作分析) Patrick法を基礎とした、股関節全周の評価、仙腸関節を構成する靱帯群の鑑別評価 | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 「長引く腰痛はこうして治せ(村上栄一)2020年 日本医事新報社」の腰痛症の内容を中心に | |
エコー実習 | |||
11:25 | 第2部 下腿外側部痛 | ||
診察実習 | 小林 | nerve tension test(下肢)発展編:腰神経根、腰神経叢、梨状筋・大腿方形筋、閉鎖筋、大腿部、下腿部の評価鑑別方法 脛骨神経と総腓骨神経の評価・鑑別 | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 下腿外側痛部痛10個(腰部、臀部、下腿部、膝部、下腿骨間動脈、骨間膜、ほか) | |
エコー実習 | |||
12:25 | 第3部 ランチョンセミナー | 小幡 | 疼痛学からみたfasciaと神経の関係性 |
12:50 | 休憩 | ||
13:00 | 第4部 膝痛 | ||
診察実習 | 小林 | 立位屈曲による発痛源と悪化因子(股関節、足関節の影響)の簡単評価方法、関節包・膝蓋上嚢の評価と治療適応 | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | 膝蓋上嚢、関節包、膝窩動脈・神経ほか、JNOS第2回学術集会・アドバンスセミナー(2019年12月1日)の内容の復習と発展 | |
エコー実習 | |||
13:50 | 第5部 足部痛 | ||
診察実習 | 小林・鈴木 | 腰神経叢・仙骨神経叢→脛骨神経(大腿部、下腿部)→足底神経にかけての分離評価方法 下腿骨間膜の評価、足趾の動作分析 ほか | |
治療手技講義 | 木村(手技のコツ) 小林(各手技の臨床適応) | Baxter Nerve、足根管、短母指屈筋、長母指屈筋など。 穿刺時痛を最小限にするための足底部の注射方法など | |
エコー実習 | |||
14:40 | 質疑応答 | 腸骨下腹神経と腸骨大腿神経の分離評価と治療適応 股関節屈曲制限に関して、「骨頭の回転軸の前方変位)」の評価方法と治療部位の考え方 ほか | |
15:00 | セミナー修了 |